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疋田家の三本松・広小路名物


広小路西端から東を望む・明治末期

秋田市広小路、現在のカトリック教会前のあたりに、「三本松」と呼ばれた樹木が、道路をふさぐようにそびえる姿が目を惹く、明治末期の風景。

藩政時代の地図を照合すると、ちょうど三本松の辺りから、現在のカトリック教会にかけての一帯が、藩の家老・疋田家の広壮な邸宅で、通りの城郭側にお堀を配した東側と比べると、この区画だけ道幅が狭くなっている。


明治元年『秋田城郭市内全図』より

疋田柳塘と松塘の父子はともに、財政に困窮し火の車であった、近世中期の藩政の危機を支えた名家老といわれ、父子ともに詩歌に秀でた文人としても名が知られている。

疋田家は日本画家・寺崎広業(慶応二年~大正八年 )の母の実家でもある。広業を身ごもった母は故あって離縁され、疋田邸で広業を産み、間もなく寺崎家に引き取られ祖母と乳母に育てられた。


寺崎広業『秋苑』明治三十二年 東京国立博物館所蔵

明治十六年、当時二十九歳の犬養毅(木堂)が、改進党機関誌「秋田日報」(秋田魁新報の前身)主筆として、大隈重信の改進党から党勢拡張のため派遣され、数ヶ月間滞在したとき、疋田邸の離れ座敷を止宿とした。家老の邸だけあって、その庭園は広く、数奇をこらしたものであったという。

明治も末の広小路拡幅に際して、疋田邸の一部が削られて道路となり、そのとき三本松も伐採される運命にあったが、その見事な枝振りの古木を伐るにしのびなく思ったのか、県ではそれを広小路に風致を添える街路樹として保存することに。



三本松の後ろのひときわ太い樹木は、樹齢数百年の樅(もみ)の木で、内部が空洞化し枯死状態となったため、大正五年に伐採され薪木にされたことが、当時の魁新報に載っている。

右手の背の高い電信柱の後ろが「木内商店」。三本松の後ろ、古川掘端町角地の商店から突き出た看板の文字は、かろうじて「風間洋服部」と読める。大町二丁目の呉服店「風間商店」の洋服部か。


広小路東側から三本松を望む・明治末期(部分)


広小路西端から東を望む・大正期の絵葉書より

左角地に、秋田における本格的百貨店のはしりであった「新田目本店」。この三階建て洋館が落成したのは大正九年だから、すでに樅の木はなく三本松のみ。

広小路から三本松が消えたのは、はたして何時のことか。昭和初期に撮影された写真には写っていないことから、大正末から昭和初年頃までに伐採されたものと推察する。


広小路西端から東を望む 08.09


大きな地図で見る
疋田家「三本松」跡

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関連リンク

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銅像 寺崎広業
寺崎広業「月光燈影」島根県立美術館
寺崎広業「溪四題」独立行政法人国立美術館
寺崎広業の大幟・山ノ内町(長野県)文化財

| 秋田市今昔 | 22:00 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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| - | 2011/09/12 19:41 | |

新田目本店

いつも貴重な情報ありがとうございます。
新田目本店の写真、初めて見ました。
新田目は「あらため」と読むのでしょうか。
デパートと言うと、木の内さんしか覚えていないのですが、新田目さんは、いつぐらいまで営業されていたのでしょう?
これからも楽しいトピックを期待しております。

| sion | 2012/06/03 10:22 | URL |

Re: 新田目本店

> いつも貴重な情報ありがとうございます。
> 新田目本店の写真、初めて見ました。
> 新田目は「あらため」と読むのでしょうか。
> デパートと言うと、木の内さんしか覚えていないのですが、新田目さんは、いつぐらいまで営業されていたのでしょう?

新田目(あらため)さんは明治初めの頃からの茶・紙商で、
その後、小間物・呉服・洋服・加工食品などもあつかうようになり、
大正9年、秋田初のデパートといわれる、三階建てのハイカラな洋館「新田目本店」を建てます。
上階に食堂を設け、生鮮食品以外を網羅する百貨店でしたが、わずか数年で倒産。
その後「秋田ビルディング」と名を変えて貸しビルとなりますが、おしくも昭和初期に焼失。
その跡に完成した二代目「秋田ビルディング」も戦後に焼失。

ちなみに、「新田目本店」の専務をされていた新田目さんの息子さんは、戦後、秋田市で「メガネの玉屋」を創業します。

「新田目本店」のことはいずれ、シリーズとして記事にするつもりですので、気長にお待ちください。

| 川端たぬき | 2012/06/03 23:00 | URL |

詳細な情報、ありがとうございます。
新田目本店のシリーズ、楽しみにしております(^^)

| sion | 2012/06/04 23:36 | URL |

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| - | 2013/08/17 23:38 | |















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