ドングリを拾いて帰る夕煙

どんぐりの拾へとばかり輝けり 藤野智寿子ポツリ、ポツリと木の葉にぶつかる音とともに降り落ち、落ち葉にまぎれて艶やかに光るドングリを見つけると、ついつい拾い集めてしまうのは、 DNA に深く刻まれた、ドングリが大切な主食であった縄文時代の遙かなる記憶が意識下から蘇るためかもしれない。

ミズナラのドングリ
子どもの頃、金照寺山でよくドングリを拾った。金照寺山のある「楢山」という地名は「楢の木の山」なのだから、楢の実のドングリがあの山には豊富だったわけだ。
秋分の日の少し前、千秋公園のミズナラの木の下で、チラシの裏に幼い字で「どんぐりもちたべますか」と書かれた紙が木の枝に挿してあるのを見た。

ドングリ餅とは、つぶしたドングリを水に何度もさらし、アクを抜いて精製したデンプンからつくる餅。そんな手間のかかる餅をつくるなんて、いまどき感心なことと思い、近くでドングリの薄皮をむいていた低学年の子どもらに聞くと、そのドングリ餅ではなく、皮をむいてお湯で煮ただけのドングリを、休みの日に一個100円で売る計画というから唖然としてしまった。そんなに世の中甘くないよ。
暖かい地方に多いスダジイやマテバシイのドングリはアク(タンニン)が少なく、そのままでも食べられるが、この付近に多いナラのドングリはアクが強くて、水を何度も取り替えて、くりかえし煮なければ渋くて食べられたものではない。

ミズナラ
ドングリのアク抜きはうまくできたのだろうか、あの場所で彼らの姿を見たのはそれが最初で最後。その「ドングリ計画」がどんな結末を迎えたとしても、それはそれで良い体験になったのではないだろうか。

どんぐりの単純すこしづつちがふ 沼等外
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