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70s「朋ひろこ」という秋田生まれの歌手がいた


昭和46年 新聞広告

秋田出身の新人歌手・朋ひろこが秋田市有楽町にかつて存在したクラブ「キングスター」に出演した、昭和46年(1971)6月の新聞広告。

彼女のことを覚えているだろうか。

本名・杉原優子、昭和24年(1949)秋田市生まれ。南中卒業後、敬愛高校(現・国学館高校)に進み、卒業後上京。在学中に通っていた歌謡教室の紹介で、演歌の大御所・大沢浄二(作曲家)のもとでレッスンを積みながら、本名で女優・モデル活動を始め、昭和45年秋、抜群の歌唱力が認められ、東芝レコードのオーディションに合格。大沢は彼女を「演歌を歌うために生まれてきたような大型新人」と評した。

確認できた出演映画は、大阪万博・電力館のマルチスクリーンで上映された『太陽の狩人』(1970・監督:恩地日出夫)と、スチュワーデス役で出演した、特撮ファンに人気がある『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(東宝・1970・監督:本多猪四郎)の二本。

読売テレビが制作し日テレ系で昭和46年(1971)1月から放送された連続ドラマ『涙の河をふり返れ~艶歌より』(原作:五木寛之、脚本:倉本聰)に、芦田伸介が演じる伝説のディレクター「艶歌の竜」がその歌声に惚れて、東北の田舎町から連れてきた新人歌手・眉京子役で出演、五木寛之作詞の劇中歌「涙の河」を歌う。

京子役として五木寛之が当初候補にあげたのは演歌歌手・藤圭子(宇多田ひかるの母親)。しかし、人気絶頂で寝る間もない過密スケジュールをこなしていた藤圭子サイドはそのオファーを断る。五木はどうしても出てほしいと再度アタック、出番の少ない別の役を演じることで、どうにか了解を得る。そして京子役に抜擢されたのが新人歌手・朋ひろこだった。

まだ若く未知数の朋ひろこを起用することに不安があったが、そのハスキーで安定した歌声を耳にした五木寛之は、「“涙の河”は、捨てられた女の怨念の歌で、若い人には気の毒かなと思っていたが、そうした心配も吹き飛ばすおとなぽっい声なので安心した」と語っている。

「芦田伸介劇場」と銘打たれた『涙の河をふり返れ~艶歌より』は日曜日の夜9:30からの30分番組。当時のドラマは30分が多かった。放送当時、秋田出身の新人歌手、それも南中の先輩が、新人歌手役でドラマに出演することが大きな話題になったものだ。



昭和46年(1971)2月、「女のなみだ」(東芝)でレコードデビュー。インタビューに答えた彼女は「藤圭子さんが演歌、それも“恨歌”で勝負していますが、私は“哀歌”を唄いたい」と抱負を語り、五木寛之は「“哀歌”が唄える歌手として、その将来が楽しみだ」とエールを送った。同年9月「朝の別れ」(東芝)リリース。

デビュー当時、地元放送局のイベントなどにゲストで呼ばれて帰省することも少なくはなかったので、どこかで生歌を聴いているはずなのだがはっきりとした記憶がないが、ジュンク堂で立ち読みした、彼女についての記述がある数少ない資料『歌謡曲名曲名盤ガイド 続・歌謡曲番外地』によれば、「ハスキーヴォイスを生かした絶唱型演歌でのデビューであった…」とのこと。

昭和47年(1972)、艶歌からのイメージチェンジを図り、芸名も田代麻紀と改名、昭和歌謡のゴールデンコンビ・橋本淳(作詞)筒美京平(作曲)による楽曲で、東芝エクスプレスから、「潮風の季節」('72)、「昼下がり」('72)、「お熱い娘たち」('73)の3枚をリリース。


お熱い娘たち/田代麻紀

「お熱い娘たち」はフジテレビ系月9(ゲツク)ドラマ『ボクのしあわせ』の主題歌。演歌のコブシを残すコケティッシュな甘え声が印象的。

その後、体調を崩して一時帰省、再度上京した昭和50年(1975)、キャニオンに移籍、原ゆう子と改名し、TBS 系ドラマ『ばあちゃんの星』('76)のフォーク歌謡調主題歌「風物語」をリリース。このドラマに着物姿で登場し、哀愁を漂わせながらセリフもなく去ってゆくチョイ役で出演すると、テレビ局に「あの女性の名は?」と、問い合わせが殺到したという。この時期、週刊誌のグラビアでも活躍した。


原ゆう子:風物語

昭和51年(1976)、TBS 系ドラマ・愛の劇場『幻の殺意』の主題歌、「愛の罪人」(作詞:なかにし礼、作曲:藤家虹二)をリリース。



恵まれたスタートを切り、度重なるテレビ局とのタイアップにもかかわらず、ヒットに恵まれることもなく彼女は、原ゆう子の名前を最後に芸能界から姿を消したようだが、その芸名の多さが芸能活動の多難さを、いみじくも物語っている。

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関連リンク

Variety Japan | FILM SEARCH - わが命の唄 艶歌
五木寛之の原作小説『艶歌』を1968年日活が映画化。
朋ひろこが演じた眉京子を映画では水前寺清子が演じた。あらすじはほぼ同じ。

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