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勝平神社例大祭・地口絵灯籠祭り



平成二十年度・勝平神社例大祭(地口絵灯籠祭)
五月十二日(宵宮)十三日(例大祭)

秋田市保戸野鉄砲町(旧北鉄砲町)に鎮座する毘沙門さんのお祭り(勝平神社例大祭)には、雨が降ることが多いが、今年は風が強めで少し肌寒かったものの、両日ともさわやかな晴天に恵まれた。

勝平山から川尻毘沙門町、八橋を経て俵屋火事の翌年明治二十年に、北鉄砲町の秋葉神社と合祀して社殿が再建されたこの地は、「山新もめん」で有名な山中新十郎(大町三丁目)の機織工場用地の一角であったが、養子の駒蔵が再建に際して八十八坪を寄進している。神社総代を務めた山中駒蔵は、「地口(じぐち)絵灯籠」の創作者としても有名であったという。

神社境内と参道、および町内の家々の門口に、ユーモラスな駄洒落や世相時局を風刺した文句に戯画が添えられた「地口灯籠」が飾られて参拝者の目を楽しませ、灯籠に火が灯される夜ともなれば幻想的な光景が出現する


ギョーザとけても謎解けぬ
右は高校生による「子ども地口」





●「地口」とはなんぞや?

「地口絵灯籠」の「地口」(じぐち)とは、ことわざや成句をもじった言葉遊び、駄洒落、語呂合わせのこと。その「地口」に大津絵風の戯画を配した「地口行灯」(じぐちあんどん)が江戸で流行したのは江戸時代の中期。江戸の流行は間もなく秋田にも伝わり、社寺の祭礼に際して飾られるようになる。

戦前の秋田市内で「地口灯籠」が行われていたのは、愛宕神社(楢山)、当福寺(寺町)、明覚寺地蔵堂(寺町)、恵比須堂(亀ノ丁)など。現在では勝平神社例大祭が県内で唯一の「地口灯籠」を飾る祭りとされている。湯沢の「七夕絵灯籠祭り」も「地口灯籠」から発生して、派手に大型化されたものという。


東京都あきる野市 二宮神社所蔵

古典的な「地口」が描かれた「地口行灯」である。左が元句の「うしろの正面だあれ」をもじった「うしろの帳めんたあれ」、右が「犬も歩けば棒にあたる」をもじった「いもも歩けば棒にあたる」。

現代でいえば、「花より団子」をもじった、神尾葉子のコミック『花より男子』のタイトルも古典的な「地口」。

「地口」の一例

●もじりの「地口」

ほうづきさまいくつ(元句・お月様いくつ)
ひょうたんにもそこがある(元句・冗談にも程がある)
道具屋お月様みてほめる(元句・十五夜お月様見て跳ねる)
えびす大根喰う(元句・恵比須大黒)

●韻を踏むラップ的リズムの「地口」

美味かった(馬勝った)、牛負けた
驚き桃の木山椒(さんしょ)の木
何か用か(七日八日)九日十日

●掛詞(同音異義のことば)をつなげた「地口」

その手は桑名の焼き蛤(その手は喰わない+桑名の焼き蛤)
 恐れ入谷の鬼子母神(恐れ入りやした+入谷の鬼子母神)
あたり前田のクラッカー(当たり前だ+前田のクラッカー)



●勝平神社の創作地口絵灯籠

勝平神社境内と参道、および家々の門口に飾られる三百を越える灯籠のほとんどを、約四十年の永きにわたり奉納し続けているのが、町内の神尾忠雄氏。常日頃から時流に目を配りながら、案出した「地口」を描く作業は年間を通して行われる。

「川柳」に近いその作風は、土崎湊祭りにおいて曳山の背後に置かれる「見返し」からの影響もうかがわせるものだ。この「見返し人形」に添えられる文句や、滑稽な韻を踏む歌詞でジャパニーズラップとも称される「秋田音頭」もまた「地口」の一種である。

20060728175006.jpg
南幕洗川「曳山も 駐禁とられて 運行停止」
改正道交法による駐車禁止取り締まりを皮肉る、平成十八年度・土崎湊祭り「見返し」

神尾氏による講習会が町内の子どもたちを対象に開かれ、祭礼の日に「子ども地口」が飾られるが、その数はわずか。


子ども地口

かつては町内の氏子の誰もが「地口」を描いて奉納したというから、たった一人の手に依存し、その作品が「個展」のように展示される現状は不自然にも思える。しかし神尾氏を越える軽妙な描き手はそうは現れない。いずれは描き手が居なくなり、地口灯籠の伝統も消えてしまうのだろうか。

ちなみに関東地方の社寺の祭典に現在も見られる「地口行灯」は、江戸からの流れをくむ古典的な内容がほとんど。それらと比較すれば、風刺的川柳風地口が大半を占める勝平神社の灯籠は「創作地口絵灯籠」と呼ぶべきものであり、祭礼に付随する行事としてはユニークかつ異端な存在といえよう。


タバコ嫌煙 ギョーザ警戒(頭を抱える男の顔に「JT」のロゴ)


低意識 汚染五輪に 泣くマラソン


男湯に 浸るお宝 金ばかり


女湯に 堪(こた)えきれずに 鬼乱入(ナマハゲ騒動)
認定書 好結構(コゥケッコウ)と 鶏の声(偽装比内鶏騒動)


入道を いつも見ている みさきなり(入道崎)




大きな地図で見る

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