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豆腐屋に卯の花貰う春の宵

牛島商店街で藩政期から豆腐の製造を生業とし、明治三十一年からは歩兵十七連隊の陸軍御用達商として商品を納めた、永い歴史を持つ老舗豆腐店が、この三月末日に店を閉じた。


08.05 吉川豆腐店

時間と手間がかかる「本にがり」を使った豆腐製造にこだわり、平成十九年には秋田県優良技能者として表彰されている。早くから「にがり寄せ豆腐」を商品化し、お品書きに「吉川豆腐店の寄せ豆腐」と表記する居酒屋もあった。

昔は個人経営の小さな豆腐屋があちこちにあって、自転車で行商もしていたが、徐々に姿を消して、本物の豆腐の味を継承する店も少なくなってしまった。

「本にがり」を使う製法は長年の経験に裏付けされた職人技を必要とし、大量生産もできず、労力の割に儲けは少ない。それに加えて昨今の大豆相場の高騰が経営を圧迫し、採算がとれずに致し方なく廃業に追い込まれるケースが相次いでいるのだ。



永い歴史に幕を下ろすに至るまでの千万の思いが数文字に込められた惜別の辞に諸行の無常を思う。

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低学年のとき、学校で飼っていたウサギの飼育当番になったことがある。当番は餌の調達をしなければならないため、生家に近い吉川豆腐店に「おから」(豆腐の絞りかす。別名・卯の花)を貰いに行った。

当時、豆腐の製造過程で出る「おから」を一般に販売する慣習はなく、お願いすればタダで貰えるものだった。学校のウサギの餌にすることを話すと、店の母さんは、袋いっぱいの「おから」を「いつでも来なさい」と手渡してくれたを思い出す。

貰った「おから」を手に、豆腐屋を出て右に歩くと、太平川橋のたもとに貸本屋「牛島文庫」。その角を曲がり桜散る土手沿いに、せせらぎの音を聴きながら家路をたどる。

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関連リンク

消える豆腐屋 高齢化と原料高騰が直撃 MSN産経ニュース

| 食材・食文化 | 21:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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