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かぶく者たち・YOSAKOIソーラン系の不良性

高知のよさこい祭り手本にして生まれた、YOSAKOIソーラン系(以後「YOSAKOI系」と記述)の祭りの衣装や化粧には、「歌舞伎の隈取り」を手本にしたデザインが使われることが多い。

ヤートセ秋田祭実行委員会のメンバーで構成される、「酔楽天」のシンボルと、衣装にもそれが使われている。


06.6.25 ヤートセ秋田祭

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06.6.25 ヤートセ秋田祭

このようなデザインが好んで使われる理由は、「かぶき」という言葉の語源にあり、それがこの祭りの傾向を端的に表している。

「かぶき」は、動詞の「傾く(かぶく)」が語源の「異様かつ華美な格好で常軌を逸した行動をする」というニュアンスの言葉で、そのような人々は「かぶき者」と呼ばれた。「傾奇者・かぶきもの」とも表記される、安土桃山から江戸時代初期にかけて流行したライフスタイルであり、これが日本の侠客、不良のルーツともいう。

「かぶき者」とは、「婆娑羅・ばさら」、「伊達・だて」などと同義で、さらには「風流・ふりゅう」にも通じるもの。

既成概念に囚われず反骨精神旺盛、自由奔放にふるまう、武将を始めとする「かぶき者」たちは、アバンギャルドで高度な美意識をそなえた粋人・文化人でもあった。

慶長八年、京都四条河原において、歌舞伎の祖・出雲の阿国(おくに)が、男装の「かぶき者」の姿で舞台に立ち見物人を魅了。「いざやかぶかん、いざやかぶかん」の歌声で始まるその踊りは「かぶき踊り」と呼ばれ、阿国は「かぶき者」としての名を不動のもとする。これが歌舞伎のはじまりであった。

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出雲の阿国

長く続いた戦乱の世が終わり、太平の世の解放感が漂う時代、若い武士のなかには「かぶき者」を真似て、派手な衣装で身を包み、徒党を組んで大道を闊歩、喧嘩を生き甲斐とする「かぶき者集団」もあらわれる。

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KOEIのオンラインゲーム「信長の野望 Online ~破天の章~」に登場する職業「傾奇者」

それが意識的な選択だったか、もしくはインスピレーションであったかは知るよしもないが、YOSAKOI系にみられる歌舞伎のデザイン、それは中世から近世にかけて流行した「かぶき者」の象徴なのだ。

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04.6.27 ヤートセ秋田祭

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04.6.27 ヤートセ秋田祭

ハレの日のつかの間、派手なコスプレで、往年の「かぶき者」の、男伊達(おとこだて)女伊達(おんなだて)を気取って路上に踊るその祭りは、いにしえの「かぶき」の延長線上にある、民衆芸能の伝統にのっとった、風流(ふりゅう)祭りの新形態といえなくはない。

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06.6.25 ヤートセ秋田祭

北海道新聞が今年、「YOSAKOIソーラン祭り」が好きか嫌いかのアンケートを実施、この六月に発表したが、「嫌い」が53.6%と、「好き」を上回る結果となり、地元住民の過半数に煙たがられているイベントであることが実証された。

嫌いな理由は「規模が大きくなりお金が絡みすぎる」「プロの踊り子によるショーのようになっている」などの運営上の問題のほかに、「暴走族のようでどうも好きになれない」というような意見が多かった。

暴走族やヤンキーなどという人種も「かぶき者集団」の流れをくむものではあるのだが、現代の不良には往年の「かぶき者」や侠客がそなえていた侠気(おとこぎ)や、粋でイナセな美意識などみるべくもない。むしろ「パンク野郎」とか「ロックンローラー」のほうが「かぶき者」に近い存在といえよう。

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07.6.24 ヤートセ秋田祭

この祭りには、かつてこの国に存在し、庶民にとってある種の共感と憧れの対象であった「かぶき者」たちへのオマージュという一面があるに違いない。

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関連記事

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路上に躍る・ヤートセ秋田祭07前夜祭
路上に跳ねる・ヤートセ秋田祭07

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関連リンク

ヤートセ秋田祭公式サイト

まるがめ婆娑羅まつり公式サイト
かぶき者・婆娑羅大名「佐々木道誉」の里、香川県丸亀のYOSAKOI系祭り

「かぶき」と「伊達」(戦国博・染色と衣)
歌舞伎図巻(戦国博・染色と衣)

「YOSAKOIソーラン祭り」腐敗の源泉シリーズ
商業化されたイベントの実態

| 祭り・民俗・歳時記 | 22:00 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

踊り!!ソーラン節!!!
心から、躍らせるもの。
秋田の歌は明るいものが多いと、中学時代の教頭先生に教わって育ちました。
「秋田大黒舞」しかり、たしかに景気が良いですね。



| 蜜馬 | 2007/07/16 01:29 | URL |















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