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小金色の笹巻き・庄内の珍味

笹巻きの餅といえば、わずかに笹の緑で染まった白色のものが普通だが、山形の庄内南部地方には、そんな常識をくつがえす笹巻きがある。



色合いや包み方が見慣れたとものとは少し異なる笹巻きの、イグサの結びを解き笹をむくと、半透明で小金色をしたゼリー状の物体が姿を表す。

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もち米の粒状感の消えた、ぷるんとして粘りのある食感はユベシに近い。地元では黒蜜ときな粉をからめて食べるのだという。味は無味に近く、灰汁特有のものと思われるかすかな香りがする。笹の香りはわずかで、風味の点では食べ慣れた白い笹巻に軍配が上がる。

この笹巻きをつくるポイントは、灰汁(あく)を使うこと。楢の木などの落葉樹か、藁を燃やした灰で灰汁をつくり、一晩もち米を浸しておき、水切りして笹で包む。それをさらに灰汁を入れたお湯で三時間から四時間ほど茹でると、灰汁と笹がもち米を小金色に染め、独特の食感をもった笹巻きの出来上がり。

茹で上がってもすぐには取りださず、鍋に入れたままで一晩冷ましておく。これは急速に冷ますと笹の葉が乾燥して皺ができるためといい、包む笹も、前年の夏に採って天日で乾燥させたものを、水で戻して使う点も、秋田の笹巻きとは異なる。

強いアルカリ性の灰汁が雑菌を抑え、笹の防腐作用が加味された、ミネラル豊富で日持ちのする保存食品であるが、これと同じ笹巻きが新潟にあり、はるか南方の南九州には、同じ製法の灰汁巻き(あくまき)と呼ばれる、竹の皮で包んだチマキが存在する。

この灰汁巻きが、江戸時代の薩摩から北前船で北上して、新潟・庄内の灰汁を使った笹巻きとなったともいわれている。

承平年間(931~938)に編纂された『倭名類聚鈔』に「和名知萬木(ちまき)」の項目があり、「粽は、菰の葉で米を包み、灰汁をもってこれを煮て、爛熟せしむるものなり。五月五日にこれを喰う」とあり、さらに時代をさかのぼって、チマキの本場・中国では、晋の周処の『風土記』(280年頃の成立)に、「菰の葉で黍米を包み、濃い灰汁でこれを煮て軟らかくし、五月五日と夏至の日に食す」と記録されている。

こうしてみると、チマキとはもともと、穀物を植物の皮で包み、灰汁で煮た保存食品だったようで、庄内の黄金色の笹巻きも、その流れをくむ古代チマキの一種といえるようだ。

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関連リンク

鹿児島の味・灰汁巻(あくまき)
賞味期限は常温で三ヶ月という

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笹巻きを食う・旧暦五月五日

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