消える昭和・木内デパートの生ジュース

03.09 木内・仲小路側入口
木内デパートの一階奥(仲小路側)は食品売場で、テナントとして地元の有力店のほかに、新宿中村屋、クッキーで有名な泉屋東京、カステラの文明堂、東京榮太楼総本舗などの有名菓子店や、福神漬の酒悦、海苔の山本山などの老舗も入っていて、贈答品を買い求める客などで、いつもにぎわっていた。
その一角にあって、フレッシュな生ジュースを提供する、ジューススタンドのことを覚えている方も多いと思う。
それまで木内で果物をあつかっていた瀬田川果物店が、昭和四十年(1965)に始めた生ジュースは、当時東京で人気だった生ジュース店を視察し、試行錯誤をかさねたうえでの誕生だったという。当初はパイン、イチゴ、メロンの三種類で、一杯五十円。
ラーメン一杯が五十円ほどの時代だから、そんなに気軽に飲める値段ではないが、人工着色料に人工甘味料と香料でできた粉末ジュースや、それと大差ない自販機のジュースなどが主流だった時代、完熟の果物をジューサーでしぼり出した、本物の生ジュースの美味しさは格別のもので、おそらくは秋田初の本格的生ジューススタンドだったと思われる店頭には行列ができ、終日客足の絶えることがなかった。
最盛期には一日に五千杯も作ったというが、「木内デパートで飲む生ジュース」というブランドイメージもまた、人気の一端を担っていたに違いない。
秋田を代表するデパートとして活気に満ちていた木内も、中心街区商店街の衰退により、売り場面積の縮小を余儀なくされ、平成四年(1992)には食料品売り場を廃止、ジューススタンドは市民市場の果物店のなかに移転することとなる。

04.10 デザートショップせたがわ・秋田市民市場
市民市場のスタンドのジューサーは木内時代のもので、生ジュースのほかに、そば、うどん、コーヒーにソフトクリーム、夏はかき氷、寒冷期は大判焼きもメニューに加わり、木内時代をなつかしむ人たちも立ち寄る、なかなかの人気店だったが、先日、「3月31日をもって閉店いたしました」との張り紙をのこして、惜しくも店を閉じてしまった。

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