戦争に行ったモノたち・旧秋田銀行本店

秋田銀行本店営業部 大正期の絵葉書より
大町三丁目に残る明治の洋館、旧秋田銀行本店(赤れんが郷土館)の、客溜まりから営業室を撮った写真であるが、現在とはだいぶその印象が異なる。
営業室のカウンターには、ご覧のような鋳鉄製のスクリーンが設けられ、吹き抜け二階部分の四方にめぐらされた回廊もまた鋳鉄製であった。しかし、戦時中の金属供出に協力して撤去され、木製のものに取り換えられてしまう。


スクリーン・部分拡大
楕円プレートに「五 支拂」の文字。支払い窓口だ。
内装と統一されて、優美な曲線で構成されたロココ調の唐草意匠がスクリーンに施され、いかにも明治の銀行らしき重厚感を漂わせている。

回廊・部分拡大
当時の唐草の装飾がある回廊とくらべると、現在の木製のものが、とてもみすぼらしくみえる。
同じように戦時中に供出された、千秋公園の千秋の鐘、本丸の佐竹義尭公の銅像などは、戦後に復元されたが、旧秋田銀行本店のスクリーンと回廊が、明治の設計者たちが意図した本来の姿に戻されることはなかった。
旧営業室のカウンターには、撤去された鋳鉄製スクリーンの痕跡が、いつまでも消えぬ傷跡のように生々しく残り、遠い日の出来事を今に伝えている。

カウンターの痕跡
終戦後、旧秋田銀行本店は米軍に接収され、第八十四軍政部が設置された。

旧秋田銀行本店(国重要文化財)明治四十五年(1912)竣工
秋田市大町三丁目
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