お家のテレビをシネラマに・昭和30年代

新聞広告 昭和35年(1960)
NHK秋田放送局がテレビ放送を開始して間もない時代の、テレビジョンのブラウン管の前に装着して、映像を拡大する凸レンズの広告である。
昭和30年代のブラウン管サイズの主流は14インチで、35年当時の価格は5万5000円から6万円ほど。17インチとなると10万円を越える価格となる。小学校教員の初任給が9千円の時代、テレビジョンは大量生産による低価格化が進んだとはいえ、まだ月給数ヶ月分に相当する高級品であった。
「テレスコープ」「スーパーワイダー」などと命名された、高価な大型テレビジョンにあこがれ、ブラウン管の前に取付けられた、プラスチック製レンズのほとんどが透明なものであったが、なかには薄いブルーやピンクに染められたものも存在した。
広告の製品はレンズの中に液体が注入されていて、その液体が光線を吸収して目が疲れないというものだが、その効果は限りなく怪しく、決して安い買物ではない。
拡大鏡効果の無い合成樹脂版に、単色、または上下が違う色で着色しただけの製品も販売されていた。それらの彩色フィルターを通したモノクロ映像に、まだ観ぬカラーテレビジョンを夢見ていたのである。
色付きセロファンをブラウン管に貼って、カラーテレビジョンの雰囲気を味わった経験のある、同世代の方もおられると思う。

イメージ画像
昭和34年、皇太子御成婚パレードがテレビ中継されたのを機に、テレビジョンの普及が加速するが、35年の普及率はまだ33%ほど。もちろん我が家にもテレビジョンは到来していない。
| 昭和・平成ノスタルヂア・秋田 | 23:30 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
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