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クサレタマグラ・秋田方言

クサレタマグラなんさでもハマル

「タマクラ」とは、鎌や鉈などの、刃物と柄の間をつなぎ止める金属製の輪っかのこと。肝心かなめな部品であり、これが壊れたり腐ったりすると使い物にならない。



「タマクラ」が腐食して締まりが悪くなり、なんにでもハマル状態を、役に立たないくせに、何にでも口出ししてお節介を焼く者にたとえて「クサレタマグラ」と呼ぶ。それを肯定的にとらえれば、好奇心・弥次馬根性旺盛な者と拡大解釈することもできる。

別名「ボッコレ(壊れ)タマグラ」「メクサレ(目腐れ)タマグラ」。

しかし、一般的にいわれているこの説には不自然なところもある。「タマクラ」が腐れたり、壊れたりすることは、「なんにでもハマル」というよりは、「グラグラして使い物にならない」状態になることだ。だから、「クサレタマグラ」「ボッコレタマグラ」とはもともと、単に「使えない・役に立たない者」をさす言葉で、それが時代とともに変化したのではないだろうか。

「クサレ」は「腐れ」という意味のほかに、「クサレ○○○」などと使われる、罵倒語の接頭語にもなる。「クサレタマグラ」もその類の言葉といえるだろう。

その語源

「タマクラ」の語源は、万葉集の枕詞にも用いられる「玉釧・タマクシロ」=「上代の装飾品、玉で飾った腕輪」との説があり、また、「環・タマキ」=「手に巻く装身具」と「輪・ワ」が重なった「タマキワ」の転訛したものともいわれている。

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発掘された銅製の「環・タマキ」

腕に着けたまま葬られたため、その骨が残っている。

もうひとつのタマクラ

頚に白っぽい環状模様がある太いミミズを、「タマグラ」「タマグラミミズ」と呼ぶが、宮城県では「タマグラ」は「カタツムリ」をさす方言なのだという。

また、木の枝を二つ割りにして、魚を焼くときの焼き串としたものを、ばらけないように留める、木製もしくは土製(素焼)の輪っかのことを「タマグラ」と呼んだ。この焼き串は「挟み串」といい、魚の形をこわさずに焼くときに使われる。

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木製タマグラ

縄に通されて連なる形が、古代の「玉釧・タマクシロ」のようだ。

民族学者・柳田国男によれば、「タマクラ」はタマキ(環)のことで、魚を焼く木の枝や割竹の類、または藁苞(わらづと)を一つに束ねるための道具としているが、「タマクラ」という言語の分布については記していない。広い地域で輪っかのような環状の道具をすべて「タマクラ」と呼んだ時代があったのではないだろうか。

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