象さんが「木内」でお買い物・昭和27年の春
▲昭和27(1952)年 新聞広告
秋田市広小路の老舗百貨店「木内」(きのうち)が、花見時に出した「さくらまつり」の新聞広告。
品目を見ると「純綿 キャラコ・天竺 特売会」「御徳用 はぎれの市」など、生地類が目につく。
ちょうど婦人の服装の主流が和服から洋服へと移行する時期で、既製服がまだ少なく、品質も良くなかったこの時代、多くの家庭が足踏みミシンを所有していて、とくに婦人・子供服は、主婦によるハンドメードが多かった。
洋裁の内職にも使えるミシンは嫁入り道具としても人気が高く、昭和31(1956)年には全国のミシン普及率が75%に達し、婦人雑誌は毎号、洋服の型紙を掲載、洋裁学校がブームとなる。
当時、秋田でミシンの割賦販売を専門にしていた「緑屋ミシン店」はのちに「緑屋信販」と名を変え、家電・家具なども扱うようになる。そして70年代初頭、経営不振に陥った「やまじんデパート」のビルを買収し秋田駅前に進出、家電・家具に加えて衣料品・スポーツレジャー用品も扱う総合小売店となるが、そのお話しは別の機会に。
広告掲載商品をいくつか抜粋しておく。
新柄ネクタイ1万点即売会
其他のサービス品
ランニングシャツ 100円
純綿敷布 300円
婦人ソックス2足 90円
子供セーター 220円
ビニールハンドバック 300円
本革抱鞄 2,900円
正絹ネクタイ 100円
木内特製石鹸 3カ 50円
純綿割烹着 180円
男物ゆかた地 480円お菓子の夜間サービス
本日の分
毎夜7時より特別奉仕
◎花林糖100匁 70円
◎松風せんべい 80円
◎甘納豆 80円
松風せんべいとは、表面に白砂糖がまだらにかかった生姜風味の駄菓子のことだろう。
当時の物価の目安をあげると、公務員の初任給7千円、ラーメン一杯が25~30円ほど。
さて、前置きが長くなったが、今回のテーマである「象さんのお買い物」について。
午前中「木内」店頭まで「象さんがお買い物に来ます」とのこと。
折しも千秋公園二ノ丸広場では、観桜会にあわせてサーカス団がテントを張っていて、そのなかの小象が、公演前に中土橋から、まだ交通量の少なかった広小路の車道を通って「木内」店頭まで訪れたという。サーカスの告知と同時に「木内」にも人が集まる一挙両得な宣伝行為であった。
当時はお花見やお祭りにサーカスはつきもので、昭和30年代前後、20団体を超えるサーカス団が存在し、全国津々浦々を巡業していたが、今では小規模な個人経営も含めて約5団体と大幅に減少している。
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